ライフ

過度の減塩は禁物 脱水症状や認知機能低下の報告あり

減塩に努める人は多いが…

 丈夫な体を作るには栄養バランスのとれた食事が欠かせない。健康志向の高まりにより様々な情報があふれる中、多くの誤解も広まっている。

 高齢者ほど血圧を気にして塩分を控えがちだが、世界では「減塩は健康にいい」という定説を覆す報告も出始めている。

 1988年にロンドン大学などが32か国1万人を対象に実施した大規模疫学調査では、1日の塩分摂取量が6~14gの人々には、塩分摂取と高血圧の間に相関関係が見られないと結論づけた。日本人の平均塩分摂取量は10~12gだから、普通の食事をしていれば高血圧の原因とはならないということだ。

 また、米国医学研究所の報告(2013年)では、塩分摂取量が低いと心疾患や脳卒中の経過に悪影響を与えるケースがあると指摘している。抗加齢医学の第一人者で、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二医師がいう。

「塩の主成分であるナトリウムは血圧を維持するために必要な栄養素です。塩分が足りないと喉の渇きを感じにくくなって脱水症状に陥るケースがありますし、塩分摂取量が不足すると認知機能が低下するという報告もある」

 減塩対策として控えがちな「みそ汁」にも、血圧を下げる効能がある。共立女子大学・上原誉志夫教授による「習慣的味噌汁摂取が血管年齢に与える影響」の研究(2013年)では、「1日2杯のみそ汁」を飲むと血圧が下がる傾向があるとしている。

 糖尿病患者やその予備軍、肥満、慢性腎不全などの腎臓疾患患者などは減塩を実施した方が良い場合もあるが、「健康のために」と我慢をしてきた中高年には、朗報かもしれない。

※週刊ポスト2017年8月18・25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト