「撮影会のモデルをやらされました。水着はNGだと契約していたはずなのに、水着を強要されました。干されるのが嫌で断れず受け入れると、ナイトクラブでのコンパニオンや、社長の友人達が開催するパーティーで下着になり踊らされたりもしました」
当初の想定と、さらには契約内容とも違うことをやらされ続けた夢香さんは、所属してから一年経ったある日、社長に直談判した。
「もう出来ないと、はっきり言いました。ただ、社長にも感謝している部分はあったので、泣きながらお礼を言って、事務所を離れたいと伝えたんです」
黙って聞いていた社長だが、突然ソファから立ち上がると、目の前の机を思い切り蹴り上げ、夢香さんに向かって「おめえみてえなクソ女に仕事を取ってきたのは誰だと思ってんだ、調子に乗んな」と恫喝した。一時間ほど罵詈雑言を浴びされた夢香さんは、その場から立ち上がれないほどのショックを受けたが、社長は夢香さんの肩をそっと抱き「言いすぎた、お前の力が必要だから。明日から会社の寮に住まわせてやる」と目に涙を浮かべて訴えたのだという。
「今考えれば典型的なDV男です。その後、パチンコ店でのキャンペーンガールなどもやらされ、仕事は倍増しましたが、給料は半分に減らされました。文句を言うと、頭を叩かれたり髪の毛を引っ張られたり、胸ぐらを掴まれるようなこともあった。少しでもやる気のない態度を見せると、契約の解除だとか、解除するには違約金がかかるとか、様々な言葉で脅されました。親にも電話をしていたようですが、私が親と連絡を取ることは許されません。間もなく、社長と肉体関係をもつようにもなりました」
そのうち「着エロ」と呼ばれる、きわどい撮影にも呼ばれるようになり、日に日に疲弊していった夢香さんだが、社長から毎日呼び出される日々が続いた。それこそ早朝4時であっても寮に乗り込んできて、性交渉の相手をさせられた。夢香さんは自身が壊れていくのがわかった。
「すでに睡眠薬がないと眠れないようになり、お酒の量も増え、体重が極端に増えたり減ったりしました。ぼーっとしていると涙が流れていたり…。でも、知人関係は社長に切られて誰にも相談できず、気がついたときには寮の部屋で睡眠薬を大量に飲んで倒れていました」
入院中の夢香さんの元に、一度だけ社長が見舞いに来たというが、実情を知って怒りに打ち震える母親の目の前で「あなたの娘さんのせいで、仕事に穴が開いたり大変な状況だ。損害金を支払って欲しい」と、平然と言ってのけたという。
「家族まで巻き込んで、本当に許せないと思いました。いけないとは思いながらも、モデル活動をしていて知り合った、反社会勢力とも関係のある知人に相談し、話をまとめてもらったのです」