芸能

桂文枝 上方落語協会会長として「死にものぐるいです」

時折、鋭い視線が寄せられる

 50年を超える芸能生活を送る桂文枝は、74歳のいまも新たなネタの模索や、若手の噺家の発掘など、精力的に活動を続けている。これからの上方落語、次世代の噺家への思いを、ノンフィクションライター・中村計氏が聞いた。なお、文枝は自身が審査員を務めるピン芸人No.1決定戦「R-1ぐらんぷり」に落語家が出場すれば“戦える”、と考えている。

 * * *
 文枝はネタを考えるとき、笑わせる言い回しではなく、まずは物語を考えるのだという。フレームが決まれば、登場人物もセリフも自ずと決まる。人間は、自然に描けば描くほど、おかしい存在であるということを熟知しているのだ。

 半分だけ開けたような目で、人間社会を冷徹に観察している。

「この間つくった『摩天楼の翼』っていうのは、あべのハルカスという日本一高いビルの上に住み始めたハヤブサと、天王寺の駅のあたりに住んでいるハトたちの話なんですけどね。それも、やっぱり、強い者に対する、弱い立場の人間の気持ちみたいのを、ハトに代弁させているわけですよ。みんなが感じてる『せやせや』みたいなね」

 ほとんど感情を露わにしない文枝だが、若手の話をしているときだけは、ほんの少し、目尻が下がっているように感じられた。2003年からは上方落語協会の会長を務め、後進の指導にも余念がない。

「上方落語協会では、毎年、『若手噺家グランプリ』いうのを開催しているんです。予選からやって、9人にしぼられる決勝は、在阪各局のディレクターなり、プロデューサーなりが審査する。で、この間、優勝したんは、出た中でも、いちばん若かった。(桂)米輝君というのが『イルカ売り』という落語で優勝したんですけれども。長さは12、13分あるので、R-1には出られない。でも、なんかすごく新しい、おもしろい若手が出てきたなあっていう感じはありましたね」

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン