ライフ

【怖い話】幽霊が陳列されたディスカウントストア

店のある棚は実は手を触れてはいけない場所だった…(イラスト/もりいくすお)

 先祖の魂が帰ってくるといわれるお盆。この世に思いを残して去った人々の魂が今年も戻ってきたようです──。39才パート勤務の女性が、自らに降りかかった世にも恐ろしい物語を明かしてくれました。

 * * *
 私は某ディスカウントストアで商品管理の仕事をしています。今年のお盆の日、閉店後に翌日の準備も終えて帰ろうとすると、私たちのリーダーであるA子さん(45才)が、ある棚の前で手を合わせていました。不思議に思って尋ねると、彼女はこんな話をしてくれました。

 その棚には、布団やシーツがぎゅうぎゅうに詰められているのですが、以前から何度店長に掛け合っても、この棚だけは並べ替える許可が下りなかったというのです。そんなわけで、そこだけ埃っぽくて、何となく暗くて、いつしか誰もが避けて通る場所になっていました。

「あんなに詰め込んでいたら、誰も手に取りたくないし、どんどん売れ残ってしまう。だから、棚を整理して、古い在庫は処分しましょう」

 と店長に訴えても、

「あそこはいいんだよ」

 と、しどろもどろの答え。なぜ、あそこだけが手つかずなのか、謎のままでした。

 そんなある日、チャンスがやってきました。昨年の夏の人事異動で、別店舗から新しい店長が来たのです。さっそくA子さんは新店長に掛け合い、気になっていた寝具のコーナーの整理をすることになりました。

 20時に閉店し、21時から棚卸がスタート。気になっていた寝具コーナーは男手があった方がいいだろうと、A子さんと2人の男性スタッフで行うことになりました。

 古い布団やシーツを1つ1つおろしていくと、布団は湿気でじめっとしており、シーツは色あせていました。

 全部の商品を棚からおろしたとき、男性スタッフの1人が「うわっ!」と、一点を見つめて声を上げました。

 何事かと思って、A子さんがその視線の先を見ると、そこには白い服を着た髪の長い女の人が立っていたのです。

 しかも、体を傾け、ゆらゆらと横に揺れています。髪は顔にかかり、表情はほとんどわかりませんが、体越しに向こうの棚が透けて見えるんです。

「そうか、ここは開けてはいけない場所だったんだ…」

 A子さんとスタッフが、大慌てで商品を元の棚に戻すと、女の人の姿も消えていったそうです。

「今もあの幽霊、あそこにいるのよね~。まさか、お客さんも幽霊まで陳列されているとは思わないだろうけど…」

 その幽霊が現れたのが夏だったことから、A子さんは、今年のお盆にも手を合わせていたのです。

※女性セブン2017年9月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン