そんなサービス精神が旺盛に見える彼女だが、会見中、笑顔を見せながらもその目は全然、笑っていない。レポーターたちに作り笑いをしたまま、時折、冷たい刺すような視線を向け警戒モードを怠らない。答えに窮すると、共演者に助けを求める。自分への質問で場の雰囲気が悪くなるのを避け、共演者に助けを求めることで、彼らにカメラが向くよう話を振っているようだ。もちろん、主演としての配慮もあるのだろう。

 言葉を濁して田山涼成に助けを求めた時は、レポーターに背を向けた。「忘れるから次に進めるということは?」と問われ、「都合の悪いことは忘れるが…死ぬ時に言いたいことは言おうと」という答えに、「言いたいこととは?」とさらに突っ込まれ、「あーちょっとまた違う方向に」と、これまた助けを求めてイライラ度がアップ。レポーターに背を向けただけでなく、くるりと後ろを向いてしまった。身体の向きは、その人の気持ちや感情が出やすいものだ。

 しかしこの会見、残念ながら着物姿の高畑さんの足元は見えない。足先の向きや動きで、その場を立ち去りたいのか、その相手や会話から逃げたいのかがわかるといわれる。足や足先は人の本音が最も出やすいところなのだ。草履を履いたつま先が見えていれば、彼女の心の動きがもっとよくわかったに違いない。

 イライラ度が上昇していく中、芝居の主人公・広岡浅子の子育てに絡め自身の子育てについて問いかけられた高畑さん。ついにイライラは頂点に達したのか、目をまん丸く大きく見開きベテランレポーターを凝視。次の瞬間、目を細めるとすっとレポーターに近づき、壇上からいきなり彼女の口を手でふさぎ、首根っこを押さえたのだ。そして彼女の耳元に顔を寄せる…。

 実際「もう、いい加減にして」とささやいたかどうかはわからない。当のレポーターは口をふさがれ、目をつむり苦笑いしたまま。

 レポーターの口をふさいだのはイライラや怒り、反発が高まったから。目を大きく開け、一瞬、にらむように相手を凝視するのは、心の内に相手への怒りの感情が生じた時に出やすい仕草だ。目を細めたのも、怒りや反発の感情が強くなったからだろう。もし不安や困惑、不満のほうが怒りより強かったのなら、彼女は自分の口を両手でふさいでいたはずだ。

 舞台のこと以外聞かないよう言われていたというが、そこをどうにか聞き出すのがレポーターの腕の見せ所。しかし、この行動が功を奏したのか、高畑さんは彼女の口をふさぐことで、場を和ませ注目を集めることに成功した。

 口をふさいだレポーターの手をさすり「ごめんなさい」と謝った彼女だが、行動の裏にあったのは、会見を成功させたいという思いより、どんなことをしても息子を守りたいという母としての強い思いだろう。彼女の、予期せぬ本音の行動を引き出したレポーターさんたちに拍手!

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