佐藤:東海村の原発事故は、完全なヒューマンエラーでした。労働者がバケツで溶液を移したら青い光が出てきたという。本当に恐ろしい話でした。
片山:私も恐怖を覚えました。特に私たちは子どものころから人類滅亡の終末論をすり込まれた世代だからなおさらでした。しかもヒューマンエラーで核爆発が起こるというシナリオもさんざん語られていた。
佐藤:2011年の福島第一原発事故でも同じ過ちが繰り返されました。予備電源のプラグ形状が合っていれば、被害は最小限で食い止められていた。あれもヒューマンエラーだった。
片山:初歩的な危機にも対応できないなんて労働者の資質や教育はどうなっていたのかと思います。福島原発事故で、いや東海村の事故で、原発はヒューマンエラーが必然的に発生することが明らかになりました。
佐藤:下請け、孫請け、ひ孫請けの労働者を使うという原子力産業の構造も大きな問題です。『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』でも原発という名前こそ出しませんが、5000万円の借金を抱えた人間を2年で身体がボロボロになる特殊な清掃現場に送り出す。
片山:原発労働者の地位が低すぎるんです。特殊な現場で働いているのだから高給にして労働英雄のように称えてもいい。