芸能

『レ・ミゼラブル』に13年間出演の村井國夫が飽きない理由

村井國夫が「レ・ミゼラブル」を語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』で、主人公を執拗に追う警部を演じた村井國夫が語った言葉を紹介する。

 * * *
 村井國夫は一九八九年から、ブロードウェイのジョン・ケアード演出のミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演、主人公のジャン・バルジャンを執拗に追うジャベール警部を演じた。

「細川俊之さんにこのオーディションを教えていただき、歌の先生もご紹介してもらいました。朝に先生のところへ行って、昼に仕事して、夜また先生のところへという生活を続けました。

 いろいろあって初演はやらずに三年目から出ました。初演では鹿賀丈史さんと滝田栄くんの二人がジャン・バルジャンとジャベールの両方を交代でやっていたのですが、二人が主人公一本でということになり、ジャベール役が必要になりまして。それで僕がもう一回オーディションを受けると言ったらジョン・ケアードが『それなら村井でいい』と言ってくれて。最初のオーディションの時からジョンとは気が合っていたんです。

 ジョンはリアリティを大事にする演出家で、たとえば僕を真ん中に立たせ、共演者に囲ませて全員に質問をさせるんです。その役の生まれ、兄弟、恋愛観、セックス観、どんな病気をして、今は誰と一緒にいるのか。いい加減でもなんでも答えないといけない。

 それを一人ずつ全ての役者に徹底的にやらせる。そうすると、答えているうちに自分の中で役のイメージが出てきます。多くのミュージカルでサイドストーリーをそこまで考えさせることはないのですが、そこまでやらないとリアリティはなかなか出てこないと思います」

『レ・ミゼラブル』には十三年にわたって出演し続けた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン