アメリカでは、内科専門医認定機構財団を中心に、全米74の医学会が賛同して、「チュージング・ワイズリー」という、無駄な医療を撲滅して賢い選択をしようという運動が2012年から始まっている。そのなかでステントグラフトに「効果に不安がある」との指摘が出ている。しかも費用は高額だ。
「手術代が約60万円にステント代が約130万円、1週間程度の入院費や検査費で50万~100万円で、総額250万~350万円になります」(前出・室井氏)
一定額を超えた医療費が還付される高額療養費制度によって、実際の負担は月額で約10万円になる(年収約370万~約770万円の人の場合)が、「差額ベッド代が入院日数×1万円、再手術、月をまたぐともなれば、合計で100万円近く払うことになる」(同)という。
最先端の手術であっても、高いわりに成果が出ない(コストパフォーマンスが悪い)治療があるとして、医師で医療ジャーナリストの富家孝氏はこういう。
「病院だって商売です。医者はみんな診療報酬点数を頭に入れて、儲けを考えて治療をしています。
流行りの腹腔鏡手術だって、点数が高いから奨めるわけです。しかし、腹腔鏡手術は医師による技術差が大きく、リスクも高いので、医療過誤も起きやすいのです。最先端だといってなんでも受けていたら、費用対効果の低い治療を受けることになります」
※週刊ポスト2017年9月22日号