いわゆる「コラボ」は企業の戦略としては、すっかりおなじみとなったが、昨今目立つのが「異色コラボ」だ。組み合わせが異色であればあるほど、その意外性から話題を生みやすい傾向もある。
2017年8月に、実施された「きのこの山の日」が有名なところだろう。大手食品メーカー・明治と自治体である東京都のコラボという意外な組み合わせが話題を呼び、今年2回目となった「山の日」(8月11日)を記念に開催されたイベントは、SNSでも数多く取り上げられた。内容は、東京タワーで「ヤッホー」と叫ぶことにより、「きのこの山」がもらえたほか、東京タワーの大展望台まで階段で上がることにより「きのこの雲取山」「きのこの高尾山」など、東京都の山を冠した限定パッケージの「きのこの山」がゲットできたのだ。小池百合子都知事もPR動画に登場するなど、両者が力を入れた企画となった。
そんな、「異色コラボ」でモテモテの企業がある。全国1100店舗以上を出店するサーティワン アイスクリーム株式会社(以下「サーティワン」)だ。
サーティワンは、今年に入ってからだけでも、スマホゲームの『モンスターストライク』、山崎製パンのランチパック、ゼブラのジェルボールペン、コクヨのキャンパスノート、イトーヨーカドーのランドセル、中古車販売店のガリバーといった形で様々な業種の企業と、「異色コラボ」を展開している。
サーティワンがコラボ先として人気を集めている理由について、同社は「確かに、多くの企業様にコラボ先として選んでいただけていますが、何故こんなにもオファーが多いのか、正直分からない状況です」という。そこで、サーティワンにオファーを出した側に聞いてみた。
「サーティワン アイスクリーム 2017柄のキャンパスノート(5色パック)』と「キャンパスバインダー〈スマートリング〉」でコラボを展開したコクヨステーショナリー事業本部の担当者は、コラボの理由についてこう語る。
「まず、サーティワンさんとキャンパスノートのターゲットの親和性が高いこと、またアイスクリームもノートの柄にピッタリではないか、と考え、2012年に初めて企業コラボさせていただきました」
つまり、ターゲットとの親和性が、コラボを決めた理由のひとつだという。同じような意図だったのが、「サーティワンコラボランドセル ポッピングシャワー【2018年モデル】」でコラボを行ったセブン&アイ・ホールディングスだ。広報担当者は、サーティワンのブランドイメージと、自社のターゲットとの親和性を理由にあげた。
「今回のコンセプトは、『夢をかなえる』ということでした。小学生の夢などで、アイスクリーム屋さんになりたいなどの夢が多いことから、女の子にも非常に人気が高い、サーティワンさんとのコラボを実施しました」
「モンスト ナツの極み。」キャンペーンは、期間限定ミッション「サーティワン・オラゴンを運極にせよ!」を達成することで、サーティワンのギフト券が当たるもの。運営元のXFLAGはコラボ理由をこう語る。
「サーティワンさんとコラボした理由は、『夏といえばアイス』と言えるくらい夏の定番であること、全国に沢山の店舗を展開していること、またモンストを介してギフト券を配布できる仕組みがあったことなどが挙げられます」
夏の定番商品としてのブランドイメージと、ギフト券配布のための実店舗が存在する、というハード面での展開に注目したというわけだ。
定番とまで称される人気と愛くるしいイメージ、どんなコラボも受け止める包容力、そして甘くとろける口当たり。人も、企業も「モテるヤツ」の特徴は同じなのかもしれない。