ただ、今回の1円販売で考えさせられることがあります。2つのスーパーは以前から公取に睨まれていることが分かっていたはずなのに激安競争を続けていたのは、消費者の食品や生活雑貨を中心とした日常消費に使う支出額が増えていない証拠だということです。
奇しくも今、西友やイオン、ダイエーもトイレットペーパーなど日用品を一斉に値下げしていますし、これまで値下げとは無縁だったセブンイレブンなどコンビニまで値下げを行なっています。それだけ消費者の財布のヒモは固く、売り上げが伸びないんです。
その一方で、酒の安売り規制でも見られたように、値引きの企業努力に対して国がモノの価格に介入しようとしていることは問題です。異常な価格引き下げや不当な圧力をかけた業者を公取が取り締まるのは当然ですが、それとは別に政府が価格統制をするようなことがあってはなりません。
背景には、何とかインフレ目標2%を達成してデフレ脱却を果たしたいという思惑があるのでしょう。しかし、本来、商品の価格は需給関係で決まるもの。企業は政府のインフレ目標のために価格政策をやっているわけではなく、冷静に消費者動向をみています。そうした民間の健全な競争を阻害しかねない空気が蔓延しているのはいかがなものかと思います。
1円販売という過度な手法だけを俎上に載せて、安売り自体を否定するような流れにならないことを望みます。