実は1983年にも外出を禁止する規定が設けられたことがあった。仲間内で外食に出て話をすることが、助言にあたるのではないかという指摘を受けたためだ。食事は将棋会館内に当時あったレストランや出前で対応した。この時は不評で翌年に解除されたが、今回は電子機器の扱いにもかかわる重大な事案。規定が厳しくなることはあっても、解除されることはないだろう。
出前が増えて、棋士の流行が目立つこともある。最近は麺類や肉豆腐の定食に餅を追加する棋士が多い。腹持ちのよさに加え、対局に粘りも出そうだ。
妙技飛び交う盤上の指し手だけでなく、こうした盤外の情報にも目を向けてみると、棋士の新しい一面を垣間見られるかもしれない。
◆文/君島俊介(将棋ライター)
※週刊ポスト2017年10月6日号