「ファストファッション人気やネット通販の台頭などで、低価格商品の魅力が薄れ、思うように集客できていない。そのため、アウトレット専用品の開発やセールの乱発、イベント誘致といったあの手この手の戦略を駆使してリピーターを呼び込んでいる状況」(前出・記者)
ここでもコト消費の限界が見え始めているというわけだ。そうなると、モノ以外での差別化に注力するイオンには十分勝機がある。
「イオンは買収したダイエーをはじめ、スーパー事業の不振が続いているため、なんとか稼ぎ頭のモールを通じてグループの総力を結集させたい考えです。
創業家の家訓である“大黒柱に車をつけよ”は、既存事業にしがみついていたら経営が危うくなるという戒めです。今後、イオンはどれだけ消費の変化に素早く対応し、これまでになかった新しいショッピングセンターを築き上げられるか。いまはそのターニングポイントだと思います」(前出・鈴木氏)
日本ショッピングセンター協会の統計によれば、現在日本には大小合わせ3211ものショッピングセンターがひしめいている(2016年末時点)。小売業界の雄。イオンといえどもアウトレットという新業態で高い集客力を維持するのは容易ではないだろう。