ビジネス

イオンはアウトレットでも「新イオニスト」を生み出せるのか

アウトレットに参入するイオンの新境地は?

 国内外で270を超える大型ショッピングモールを運営するイオン。常連客を指す“イオニスト”なる造語まで生み出した流通業界の巨艦が、今度は本格アウトレットモールに参入する。発表資料によれば、施設名は「THE OUTLETS(ジ アウトレット/仮称)」。来春に広島で1号店をオープンさせる予定だ。

 店の概要は、もちろん有名ブランドの商品をアウトレット価格で提供するスタイルが中心となるのだが、そこに地域の隠れた名産品を売ったり、地元ならではの体験も味わえるエンターテインメント性を付加したりするなど、「モノ・コト・ヒト」にスポットを当てた地域創生型の商業施設を目指すという。

 じつは、既存のイオンモールもかねてより「脱モノ消費戦略」を加速させてきた。流通アナリストでプリモリサーチジャパンの鈴木孝之氏がいう。

「国内のショッピングモールはどこへ行っても似たようなテナントの商品が並び、単なるモノの入れ替えだけでは消費者の来店動機が高まらない。

 そこで、イオンはスポーツジムやカルチャーセンター、ゲームコーナーなど新しいサービス業種を充実させて『コト消費』を促してきました。広いモール内をウォーキングしながら指定の場所で電子マネーの『WAON』をタッチすると健康ポイントが貯められるといったユニークな試みも多数展開しています。

 今後、人口減少や高齢化がますます進んでいく中で、イオンは出店するエリアの顧客層や生活スタイルを熟知し、地域密着型のモールに変貌していかなければ生き残れないという危機感を抱いているのです」

 いまや食品スーパー、ドラッグストア、コンビニ、外食、そして金融・不動産やペット、葬儀事業まで自前で持つイオンにとって、モール内でありとあらゆる生活ニーズを取り込むことが可能だ。アウトレットモールの参入は、全国規模のイオンがどこまで小さな地域コミュニティーの「核」として発展できるかを占う試金石ともなろう。

 だが、いざアウトレットモールの業態だけ見れば、ライバルとなる大手デベロッパーが各地で勢力を拡大中である。大阪、横浜、仙台、札幌などにある三井アウトレットパーク(三井不動産)、御殿場、酒々井、神戸、鳥栖などで外国人観光客も多く訪れるプレミアムアウトレット(三菱地所・サイモン)は、京都にも進出予定だ。

 果たしてイオンに勝ち目はあるのか。じつは好調にみえる主力アウトレットモールも苦戦を強いられている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

主演映画『碁盤斬り』で時代劇に挑戦
【主演映画『碁盤斬り』で武士役】草なぎ剛、“笠”が似合うと自画自賛「江戸時代に生まれていたら、もっと人気が出たんじゃないかな」
女性セブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
電撃閉校した愛知
《100万円払って返金は5万円》「新年度を待ったのでは」愛知中央美容専門学校の関係者を直撃、苦学生の味方のはずが……電撃閉校の背景
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン