以前は朝、昼、夜とフェイスブックをみていた洋一さんは、インスタグラムでは投稿はせず、もっぱらハッシュタグ検索して情報を集め、眺めている。
「ポスターや告知などの情報はインスタグラムでもけっこう見つけられます。コメントがあまり目に入らないのもいい。基本的に匿名だけれど、Twitterと違って攻撃的だったり高圧的な態度の人がほとんどいないのも心地よいです。自分から投稿することはほとんどありませんが、趣味にまつわるSNSには、こういう平和なものを自分は求めていたんだとわかりました。フェイスブックはディスコミュニケーションがよく起きて不快な思いをさせられることがたびたびあるので、だんだん利用頻度が落ちています」
直子さんも、大好きなワインについてはインスタグラムでハッシュタグ検索して探すことが増えた。
「インスタグラムはきっちりしたグループが作られるのではなく、好きなものを中心に集まりやすい。アップした写真にコメントをもらっても、絶対に返さないとならない雰囲気じゃないので気楽です。フェイスブックと違って、匿名で通せるのもいいですね。匿名でも、ツイッターだとリプライを返せとしつこくされたり、悪意ある人たちの殺伐とした雰囲気に巻き込まれることもあるけれど、インスタグラムでそういうことはないですから」
フェイスブックの月間アクティブユーザー数は世界で月間20億人超、日本では月間2800万人になる。日本でもっとも登録が多いのは30代と40代だが、利用者の裾野が広がるにつれ、さらに上の世代とのフェイスブックつきあいに疲れたとこぼすとは皮肉な状況だ。
利用者が多く基本的に実名で登録するフェイスブックでは、SNSなのに職場と同じ忖度やビジネス「いいね」がの煩わしさが増していると伝えられてきた。とはいえ、フェイスブックで友だちを解除するのは露骨だし、登録を消すには煩雑な作業が必要になる。SNSで発生した不満は、別のSNS、たとえばインスタグラムで息抜きをする時代になってきたのかもしれない。