日々『細野真宏のつけるだけで「節約力」がアップする 家計ノート2018』(小学館刊、定価500円+税)の愛読者ハガキを読み、読者の意見に真摯に向き合っている著者の細野真宏さん。ある日、切羽詰まったお悩みに彼の手が止まった。シンプル記入が信条の家計簿。なのに何に追い詰められているのか。千葉県在住、夫とふたり暮らしで共働きの年収は950万円だという読者のKさん(39才)と直接会ってみることにした。Kさんからの「お金を使うとなくなってしまう気がして。罪悪感を持つ私はどうですか?」との問いに、細野さんが答える。
Kさん「うちは夫がサッカー好きでスパイクやユニフォームやら…私とは違って、どんどん買ってくる。本人は“働いてるんだからいいじゃないか”とよくいうんです。それでいうと、私も働いているので、このあとデパートで服を買いました、といっても誰も怒らないと思うんですよ。ただ、そういう贅沢の罪悪感を持ちながら生きてるなって、つくづく思うんです」
細野「つまり、夫婦でお金に対する価値観が全く違うんだね(笑い)」
Kさん「つつましくどこにも出かけず、1日3食作り節約を考えて生きていくのが正しいんじゃないの?って誰かに言われてる気がするんです」
細野「なるほどね。典型的な日本人像でもあるよね。ただ、発想を変えてみるのもいいんじゃないですかね。まず、そもそもなんで預金や節約をするかといったら、自分がしたいことをするため、ですよね。ちゃんとセーブできていれば、趣味のサッカーとかに使っても、ご褒美的な意味が出て、漠然とした罪悪感を持つ必要がなくなると思うんですよね。つまり、罪悪感を持たないで済むように家計ノートで管理していると考えるといいのでは」
Kさん「家計簿も何となく、とあいまいでしたが、そういう視点が持てるのであればモチベーションが急に上がりますね(笑い)」
細野「そうそう、なんのために節約力をアップするのかといえば、無駄なところでお金を落としてドブに捨てている状態を続けるよりは、ちゃんとお金を見る目を磨いて、引き締めるところは引き締めて、それで節約力をアップさせる。貯め続けるのがいいのではなく、コートを買ったり、旅行やレストランに行ったり。家計に破綻をきたすなら困るけど自分で管理できて生まれたお金なら躊躇なく使えますよね。本当の意味で充実した生活が送れる。これが家計ノートの最終目的でもあるんです」