スマホを見るとき、多くの人は顔から30cmも離さずに画面を見る。近づけている間、毛様体筋はずっと緊張状態にある。そうした状態を続けると筋肉を収縮させる機能が低下してしまう。いざ目を離して他の物を見たりするときに、ピントの調節がうまくいかなくなるのだ。
「目の疲れ」は、全身の機能へ影響を与えることが近年言われている。しかも、疲れだけでなく、不調や痛みにもつながる。それが、このスマホ老眼でも起こってくる。
「毛様体筋の疲れは眼精疲労といえる状態です。眼精疲労は目の奥の痛みや頭痛、肩こり、胃の痛みなどの症状も引き起こされます。目からくるストレスや疲労によって血行が悪くなり、それが全身に影響を及ぼすからです」(森岡院長)
それだけでなく、毛様体筋が衰えきってしまうと、通常の加齢による老眼と同じように水晶体が変形しない状態になってしまう。
「通常の老眼は75歳くらいまで、年齢とともに進行していきます。スマホ老眼が進行することも、目の加齢と言えるでしょう」(森岡院長)
場合によっては、目の年齢を10歳も老けさせてしまうというのだ。
※週刊ポスト2017年10月27日号