BMWも積極的なEV開発をアピールしていたが…


 自動運転とコネクティビティはどうか。事故リスクの低減、安全や交通需要のコントロールなど、道路交通の進化と密接に関わる分野だけに、開発競争に拍車がかかるのは確実だ。内外の自動車メーカーがこぞって「レベル4(一定の条件下ではドライバーが介入する必要がない自動運転)」を早期に実現するとアナウンスしている。

 だが、エンジニアレベルでは自動車メーカー、部品メーカー双方から「レベル4と称しているものがエンジニア的にはレベル2ないしレベル3」という声が複数聞かれた。

「ボルボさんは、自動車専用道路など区間は限定するものの、そこで走るときには自動車メーカーが全責任を負うのが自動運転で、それができるまでは出さないと言っていますよね。その哲学は尊敬に値します。

 自動というからには、使う人に責任を負わせてはいけない。テスラやGoogleが完全自動運転をうたったのをきっかけに、自動車業界ではうちも含めて今、将来の開発目標についてちょっと言いたい放題になっていると思う」(国内メーカーのエンジニア)

 自動運転と密接に関わるのはクルマとビッグデータの接続を行うコネクティビティや人工知能(AI)。そのメジャープレーヤーたる情報通信系の世界企業が東京モーターショーに来ていなかったため、大事な要素でありながらほとんど取材にならなかった。

「コネクティビティやAIが本当に重要な意味を持つのはレベル5、すなわち無人運転、あるいは運転操作が一切不要のプライベートカーができてからの話だと思う。

 もちろん技術の高度化についてはチャレンジしなければいけないが、これについては“餅は餅屋”と言うか、自動車メーカーがヒエラルキーのトップに立つような話ではなく、高度化された社会インフラの下にクルマが来るような気がします。自動車にとって最も都合のいいシステムが社会のデファクトになるかどうか」(国内部品メーカー関係者)

 世界最先端のハイテクショーという触れ込みで開催された東京モーターショー。だが、クルマがどう変わっていくのかということについてハッキリしたコンセプトを提示できるショーにはなっていなかった。

 それは、人間は誰も本当の未来予言などできないということが今も変わっていないことの証でもあり、少しホッとされられたのも確かである。

 クルマを運転する時代は終わるだの、カーシェアですべて事足りるようになるだのといった先走った観測が世の中を駆け巡っているが、実際には当分、いろいろな進化を楽しめそうな気がした。

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