牛丼「松屋」を凌ぐ勢いのとんかつ新業態「松乃家」
しかし、そんな後発の「かつや」も、いまでは新規参入店に追われる存在だ。大手牛丼チェーンの「松屋」が2011年より始めた「とんかつ松のや(松乃家)」は、ロースかつ丼・定食が491円(税抜き)のほか、盛り合わせ定食やかつカレーなどのメニューを充実させ、全国で130店舗以上を展開。牛丼に続く柱に育っている。
その他、「丸亀製麺」で有名なトリドールの「豚屋とん一」、すかいらーくレストランツの「とんから亭」、ゼンショーグループの「かつ庵」といった新興勢力が軒並み出店を加速させている。
さらに、「和幸」や「まい泉」などFFではないとんかつチェーンも、近年は駅ビルや商業施設、ショッピングモールなど集客の見込める場所に多く進出している。
果たして、“とんかつ戦争”は激化する一方なのか。前出の中村氏はこんな見方をする。
「大手3チェーンの派手な価格競争で疲弊している牛丼に比べたら、とんかつ需要はまだ伸びる余地はあります。高価格店とFF店、地元で人気の個人店とそれぞれ特色が違うので、消費者も外食するシチュエーションによって、行くとんかつ店を変えている状況も見られます。
ただ、『かつや』がたこ焼き店の『築地銀だこ』を運営するホットランドと組んで唐揚げ専門店の米国進出を発表したように、これから主戦場は国内から海外へとシフトしていく可能性はあります。寿司、天ぷら、焼き鳥などに比べて海外でのとんかつの認知度はまだ低く、日本食を広められる場所はたくさん残っていますからね」
いずれにせよ、近年、自宅で揚げ物をする人も少なくなっている中、「かつや」快進撃に見るとんかつ専門店の勢いはしばらく続きそうだ。