──財務省の緊縮財政路線が継続すると日本国が大変なことになる。

三橋:たとえば、日本は災害大国なのに土木建設業が弱体化している。公共工事が“バラマキ”との批判を受けて大幅にカットされたからです。ピークの1999年には60万社あったのが、2016年度には46.5万社へと減ってしまった。建設従業者も1997年のピークから28%も減ってしまった。このままでは大地震に見舞われた場合など、復旧に支障をきたすレベルになってしまう。問題なのは教育にまでメスが入れられていることです。国立大学法人運営交付金は2004年以降、着実に減らされていった。その一方で、”短期の成果”を求められるようになった。そもそも、基礎技術などの研究などで、短期の成果など出るはずがない。短期の成果が出にくいからこそ、大学で国費を使って研究するのです。にもかかわらず、大学の研究者たちは予算削減と短期成果の要求により、疲弊していっている。日本の被引用論文件数の世界ランキングはつるべ落としのように下位に沈んでいる。このままでは科学立国どころか、10年後にはノーベル賞受賞者も激減するでしょう。

──このままでいけば、とんでもない結末が待っていそうな気もします。

三橋:財務省が日本のデフレを継続させることで、日本の様々な制度を破壊し、国の形すら変貌させてしまうグローバリズム路線を正当化させてしまうという点です。グローバリズムは、ヒト、モノ、カネの移動を自由化させること。逆にいえば、ヒト、モノ、カネの移動の自由を妨げているのが「政府の規制」です。グローバリズムは、政府の権限を弱体化させ、規制を緩和もしくは撤廃し、最終的には「小さな政府」を目指すという考え方です。

 グローバリズムの政策である「規制緩和」「自由貿易」と、財務省が推進する「緊縮財政」の三つは「政府を小さくする」という点で根っこが同じなのです。それどころか、緊縮財政が規制緩和、自由貿易を正当化。規制緩和、自由貿易による経済のデフレ化が財政を悪化させ、さらなる緊縮財政に導くという、悪夢の循環関係にあります。財務省は、日本を小国化している。そして、最悪のケースとして気が付いたときには中国の属国化という悪夢が待ち受けているかもしれないのです。

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