ボーナスには大きく会社業績、部門業績、個人業績が反映される。会社業績は個人ではどうしようもないが、好業績の部門と不採算の部門では配分されるボーナスの原資が違うので個人の間でも大きな差がつく。
総合商社でも資源部門が好業績を上げてボーナスが一挙に増えた社員もいれば、逆に業績が落ち込んだ非資源部門のアパレル系部門の社員のボーナスが減少したという話を聞いたことがある。もちろんその逆で資源部門の業績が悪化するとボーナスも下がることになる。ボーナスを少しでも上げたいと思えば、今後有望な部門に異動願いを出すことも一つの手だ。
入社5年目から10年目の社員は各部門を異動し、経験を積むジョブローテーションの時期であり、異動先の自己申告を受け付ける企業も増えている。
もう1つの手段は個人の成果・実績を上げることだ。一般的に期初に上司と話し合って上期・下期や年間の仕事の目標を設定し、その達成度が評価されて個人業績のボーナス額が決定する。営業職であれば予算などの達成数字が大きく影響する。
だが、社内の仕事は数字で計れる仕事ばかりではない。企画や管理系、開発、マーケティング、情報システムなどさまざまな業務がある。じつはこうした業務ほど目標設定と評価が難しいと言われている。
しかも最近はビジネスが複雑化し、仕事の中身が変化する中で部下の仕事領域に詳しくない上司も増えている。目標の設定では上司にわかるような実現可能な目標を設定しても評価が高くつくことはない。いくつかの目標の中に上司が目を引くようなチャレンジングな目標を設定し、それを達成することがいかに部門に貢献することになるかを納得してもらうことだ。
たとえば顧客の新規開拓案件や新規ビジネスの提案でもいい。事前に実現可能性をシミュレーションし、必要な戦略と戦術を立案し、上司の同意を得るために実現のプロセスを丁寧に説明することだ。もちろん上司が同意しても実現できなければ評価は下がるが、実現に向けて今何をしているのかについて上司に「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を絶やさないことだ。
上司にアドバイスをもらうことやビジネスにつながる人脈を紹介してもらえることもある。上司の信頼を得ることができればたとえ失敗しても、プロセスを評価してもらえるし、それほど評価が下がることはないだろう。
今はどの企業でも「創造的、革新的なアイデアや企画の実行」を人事評価項目に掲げているところが多い。もし自分のアイデアが成功すればボーナスが上がるだけではなく、昇格のチャンスも巡ってくるだろう。
最期にもう一つ、目標設定で上司に振られた仕事は確実に達成することだ。自分が立てた目標など他の目標は達成しても、上司が言った目標が達成できなかったためにボーナスが大幅に下がっただけでなく、他部署に異動させられる人もいるので注意してほしい。
■文/溝上憲文(人事ジャーナリスト)