中国江蘇省と浙江省の境界に位置し景勝地として知られる太湖のなかにある島に産業廃棄物2万3000トンを放置したとして、江蘇省蘇州市の裁判所は実行犯の男2人にそれぞれ懲役5年半と罰金30万元(約520万円)、懲役5年と罰金25万元(約433万円)の判決を言い渡したことが明らかになった。
産廃業者にこれほどの厳しい判決が下るのは異例だが、中国ではすでに産業廃棄物がおよそ600億~700億トンも不法に投棄されており、大きな社会問題となっている。中国最高指導部メンバーの1人である張徳江・全国人民代表大会(全人代)常務委員長も「早急に解決しなければ、中国はゴミの山になってしまう」と警告している。
中国のニュースサイト「中国新聞網」によると、判決を受けた2人は上海市内の建設会社の社長から2万3000トンの産業廃棄物の処理を請け負った。その際、この社長は廃棄物を放置する場所として、人目につきにくい太湖のなかにある島である「西山」を指定したという。西山は湖岸から太湖大橋が架かっており、2人は西山にある寺の近くに産業廃棄物を捨てたという。
ところが、太湖は周辺住民3000万人の飲料水の水源となっていたことから発覚。産業廃棄物を捨てた場所の近くに飲料水用のパイプがあり、住民から水道の水が汚いなどとの苦情が出たことから、調査にあたった市政府の関係者が現地で大量のごみが捨てられているのを発見。警察が2人を突き止めて、昨年9月に逮捕したという。
2人の裁判は終了したが、建設会社の社長も共犯として逮捕されており、近く社長の裁判が行われるという。