一方、前出の太田氏は「古い物件を丁寧に使っている店には好感が持てる。何年も前の汚れたポスターカレンダーをいつまでも貼っているような店は、ちょっと敬遠してしまいます」という。
接客は“さじ加減”の難しいところだ。長く愛される「ご近所居酒屋」の接客には、大手チェーン店のような、“マニュアル化された丁寧さ”はないのだという。東京の下町で50年以上の歴史がある大衆居酒屋で話を聞いた。
「この店のホール係のおばちゃんたちは、正直言って愛想は良くない(笑い)。常連客にはぶっきらぼうで、敬語も使わないしね。でも、何度も通えば暖かみがあるのがわかるし、決して客の心に土足で入り込まない。今の時代、そういう“距離感”をわきまえた接客ができる店は珍しいよね」(常連客・61)
ただ、こうした常連中心の店では、時に、新規の一人客は気後れしてしまうことがある。
「そんなとき、ご主人が声を掛けてくれると嬉しいもの。そんなふうに新規の客にも気を遣ってくれる店は理想的ですね」(前出・山田氏)
※週刊ポスト2017年12月1日号