国内

亀岡市暴走事故 加害者からの謝罪はなし、被害者遺族の無念

多発している自動車事故に被害者の心情は

「裁判では『謝罪したい』と殊勝なことを言い続けていましたが、判決後は事故を起こした本人たちはもちろん、家族を含めて一切なしのつぶて。たった一度の謝罪もなく、手紙すらきたこともない。これでは、殺された私の娘が浮かばれません」

 涙ながらにそう憤るのは、2012年4月に京都府亀岡市で起きたワゴン車暴走事故で長女の幸姫(ゆきひ)さん(当時26才)を亡くした中江美則さん(54才)。この事故では、孫の蒼愛(そあら)さん(当時6才)も重傷を負った。

 幸姫さん含め3人が死亡、7人に重軽傷を負わせた重大事故を起こした少年たちは今、事故現場の至近で平穏な生活を送っていた──。

 今年6月、神奈川県大井町の東名高速道路でワゴン車の夫婦が死亡した追突事故で、横浜地検は10月31日、高速道路上に車を停車させた石橋和歩被告(25才)を危険運転致死傷罪で起訴した。

 事故直前、夫婦の車を執拗に追跡し、進路を塞ぐなどした一連の妨害運転が死傷事故を招いたと判断。逮捕容疑の自動車運転処罰法違反(過失致死傷)より罰則が重い同罪を適用した。

 この事故で亡くなったのは、静岡県在住の萩山嘉久さん(享年45)と妻の友香さん(享年39)。同乗していた長女(15才)と次女(11才)は奇跡的に軽傷だった。嘉久さんの母親、萩山文子さん(77才)は事故当初、本誌・女性セブンの取材にこう話していた。

「今回の件は、事故ではなくて殺人事件だと思うんです。事故は無意識でも起こるけど、事件には悪意がある。犯人は自分の意思で2人の命を奪ったんです」

「(過失致死傷罪での逮捕に対し)法律は誰のためにあるのでしょうか。危険運転致死傷罪の適用を求めて、署名運動も考えています」

 文子さんの想いが汲まれるように、石橋被告には危険運転致死傷罪が適用されたが、同事故が世の教訓になることはなく、その後も無謀なあおりや妨害運転による交通事故が頻発している。

 10月26日、東京都足立区の環状7号線で、自営業の男性(47才)が前を走る車を執拗に追跡。最終的に車を追い越し、前方を塞ぐように停車させ、運転手に鞭打ちのけがを負わせた。男性は危険運転致傷とひき逃げ、恐喝の容疑で逮捕されている。

 翌27日には、静岡県富士市の県道で、自動車整備業の男性(53才)が乗用車を運転中、わざと急ブレーキをかけて後続のオートバイを転倒させた。バイクの運転手は右足を骨折する重症を負い、男性は危険運転致傷の容疑で逮捕された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
テレビの“朝の顔”だった(左から小倉智昭さん、みのもんた)
みのもんた「朝のライバル」小倉智昭さんへの思いを語る 「共演NGなんて思ったことない」「一度でいいから一緒に飲みたかった」
週刊ポスト
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン