キリンシティプラス東京銀座店の豊田雅弘店長


 全国に約220店舗あるファミリーレストランの「ロイヤルホスト」が喫煙ルームの設置を始めたのは2009年6月からで、業界内ではパイオニア的な存在となっている。

 社会的関心が高まっている受動喫煙の防止策として“完全分煙化”を推進する──との目的で。2013年には客席の全席禁煙を実施した。

 ロイヤルホールディングス会長兼CEOの菊地唯夫氏が振り返る。

「ファミリーレストラン業態は、食事はもちろん、お茶やお酒を飲むこともできるので、喫煙されるお客様も来店されますが、やはりウチは食事をメインに楽しんでいただきたいので、『テーブルではたばこは我慢してください、その代わり、食後の一服は喫煙ルームでお願いします』というイメージで分煙化に取り組んできました。

 ただ、最初に禁煙を打ち出した時は売り上げが2割ほど減って大変でした。今でこそ喫煙するお客様から『自分も周囲で吸ってほしくないから、席を立って喫煙ルームに行くのは構わないよ』と言っていただけますが、スペースや排煙ダクトの確保などで喫煙ルームを作れない店もあります」

 実は菊地氏は日本フードサービス協会会長という、もうひとつの顔も持っている。同協会は国などによる一律の規制強化に反対しており、菊地氏も「飲食店の多様性をもっと尊重して欲しい」と訴え続けている。

「日本の飲食店は大企業だけでなく、中堅・中小、個人経営まで裾野が広く、多様なメニュー、そして喫煙環境を含めた多様なサービスが付加価値を生んでいます。それを単に店の規模や業態だけで線引きし、喫煙か禁煙かの二者択一で同質化させてしまうのはどうかと思います。

 すでに、多くの飲食店は自助努力で分煙環境を整えています。たばこが嫌いなお客さんが多いのに、いつまでも全面喫煙にしていたら人も売り上げも減っていくだけ。時代の流れやお客さんのニーズとともに自ずと経営判断が働いていくものなのです。ならば、ここで敢えて規制を厳しくするのではなく、これまで進んできた飲食店の自主的な取り組みのアクセルを踏ませるほうが、よほど自然な姿ではないでしょうか。

 もちろん、“望まない受動喫煙”をなくすためには、業界全体でさらなる是正が必要です。分煙環境の整備でいえば、エアカーテンなどの技術を進化させて、空気の流れを完全に制御する仕組みをつくるとか。日本の高い技術力があれば、それも不可能ではないでしょう。

 ともあれ、例外を認めずにあの手この手で規制を強めるのではなく、店やお客さんの多様な嗜好性を尊重してほしいと思います」

 確かに、望まない受動喫煙の防止という観点でみれば、面積、業態云々に限らず「分煙の徹底」といった事業者側の自助努力はすでに進んでおり、いま急いで“強権発動”すべき問題なのか、との疑問が沸く。

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