国内

武田鉄矢「愛の鉄拳には意味がある」、金八先生交え語る

中学時代にビンタを受けた教師と涙の再会

 教育の場で大きな問題となる体罰。しかし、かつてはそれが当たり前だった。俳優の武田鉄矢(68才)は博多で過ごしたやんちゃな少年時代、よく大人にひっぱたかれてきた。

「小学生の頃は掃除の仕方が乱暴でゲンコツされて、中学生の時は体育館の使い方が悪くてビンタ制裁ばかり。家の金を持ち出して映画を見て、母親から庭ほうきでバシバシ叩かれたこともあります」(武田)

 殴られても懲りない少年だったが、大人になって気づかされたことがあった。中学2年生の頃、バックネットによじ登って野球を見ていた鉄矢少年に、体育教師がビンタを食らわせた。

「手形の赤アザが1日取れないほど見事なビンタ。屈辱的だったし、『そこまで殴らなくてもいいじゃねえか』とも思いました」(武田)

 その後、東京に出て『3年B組金八先生』(TBS系)で熱血教師・坂本金八を演じてから、武田は地元の福岡で体育教師と再会した。

「その時、先生は『鉄矢か、偉ぅなったのう』と言った後、『おれ、お前ば殴ったもんね。ビンタかましたもん、反省しとるぞ』と涙ぐんでいらした。てっきり忘れていると思っていたけど、覚えていらっしゃってジーンときました。涙を見たとき、『先生の手も痛かったんだ』と初めてわかりました」(武田)

 その先生はかつて、子供に倒れかかってくるスタンド式のバックネットから生徒を助けようとして、背中に深い傷を負ったという逸話を持っていた。

「殴る時は殴るけど、守る時は体を張ってくれるかたでした。ぼくがビンタされたのも、バックネットの怖さを教えてくれるためだったのでしょう。だから今思えば、あのとき殴られてよかった。いい先生は、必ず子供をしっかりと見ているんです」(武田)

 だから『金八先生』では毎回必ず、金八が生徒を見つめるシーンを挿入していた。

「そういう先生が、生徒を殴った手の痛みをずっと覚えていれば、『愛の鉄拳』は絶対に意味があるものです。逆に殴られた方だけが痛ければ、それはただの体罰です」(武田)

『金八先生』の第1シーズンに出演し、現在は参議院議員を務める三原じゅん子(53才)も、先生の意図に後から気づいた1人だ。

「父も母も兄も礼節に非常に厳しかった。小学校もかなり厳しい学校で、テストの点数が80点に満たないと、担任から木刀でお尻を叩かれました。それが嫌だったから必死で勉強しました。でも今から振り返ると、その体罰は“お前はもっとできるはずなのに怠けたな”という担任の愛情から生じたものだったと思う。時には生徒を叩いて叱ることもあった金八先生の指導だって、愛情がこもっていたから多くの視聴者に支持されたのだと思います」(三原)

※女性セブン2018年1月4・11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト