ライフ

【香山リカ氏選】2018年に読みたい「人間らしさが危ない」

高橋祥子・著『ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?』

 年末年始はじっくりと本を読む良いチャンス。『週刊ポスト』の書評委員が選ぶ書は何か? 精神科医の香山リカ氏は、「『人間らしさ』があぶない」というキーワードを読み解く本として、『ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?』(高橋祥子・著/ディスカヴァー・トゥエンティワン/1500円+税)を推す。香山氏が同書について解説する。

 * * *
 注目の生命科学者にして起業家の二十代女性が記した本書は、「遺伝子を調べて生かす技術がここまで進歩しているのか」と読む者にショックを与えずにはいられない。著者は冒頭であっさりと「受精卵のゲノムを編集すれば、思いどおりの人間を作ることも可能です」と言う(「ゲノム」とは“細胞や個体の持つ遺伝情報”のこと)。

「それはちょっと待って」とためらう人に、著者はこう告げる。「せっかく有用なテクノロジーがあるのに、それを活用できないことは、今の社会、そして未来にとって大きな損失です」

 この分野のスピードはすさまじく、間もなく自分の全遺伝情報が簡単にわかる時代がやって来るという。自分のルーツや身体的特徴だけではなく、がんや精神疾患にどの程度なりやすいか、さらにはモテ期や獲得できる収入などもわかってしまうかもしれないのだ。

 どうだろう。「勘弁してよ」と不安や嫌悪感を抱いた人は、著者によれば「テクノロジーの発展のスピード」と「自分の理解力」との間にギャップがある人。著者は、立ち止まらずに未来を目指して建設的な議論をせよ、と旧世代や今の社会に喝を入れるのである。

関連記事

トピックス

大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン