これが科学の最前線か。これがいまの若者か。あまりの衝撃を受けた人には、還暦を迎えた医学者・仲野徹氏の『こわいもの知らずの病理学講義』(晶文社)をお勧めする。本書も十分、刺激的ないまの医学の本なのだが、「老化と死からは逃げられない」ので「病気の成り立ちをよく知って、病気とぼちぼちつきあって生きるほうがいい」などと言われると、ホッとする読者も多いのではないか。
とはいえ、この社会で生きている以上、私たちはテクノロジーとは無縁ではいられない。そしていま、ついに「人間とは何か」「命とは何か」という問題にメスが入れられようとしている。国家があなたの遺伝情報を管理……などという悪夢を避けるためにも、ここは覚悟を決めて自分で考えたい。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号