2011年、エースとして早大を大学駅伝3冠に導いた大迫は、日清食品に入社。ニューイヤー駅伝(2015年)でも区間賞を獲得するなどの活躍を見せた。だが同年3月に退社し、プロランナーに転身。アメリカを拠点にトレーニングを始めた。2017年4月、初マラソンとなるボストンマラソンで3位。さらに12月の福岡国際マラソンでは日本人最高の3位となり、13位と低迷した三代目・山の神の神野大地に大きな差をつけた。
「大迫選手がプロに転身し、アメリカに拠点を移したのは、今の日本のシステムや環境ではマラソンで成功することはできないと考えたからでしょう。世界を目指す選手は駅伝で頑張るよりも、他にやるべきことがあると考え始めている。今後、そういう選手が増えていくと思います」(徳本氏)
一躍、東京五輪マラソン代表の有力候補に躍り出た大迫。
その一方で「新・山の神」と謳われ、東洋大学を3度の総合優勝に導いた柏原竜二は、卒業後に富士通に就社するも、2017年3月に現役を引退。現在は同社アメフト部のマネジャーとして同部のブログに頻繁に登場し、試合会場でのチームの応援の様子を写真つきでアップするなど、第2の人生を精力的に歩んでいる。
「五輪に出場するには才能と努力が欠かせません。それでも限界に気がつくときがあります。そのときにスパッと競技をやめて、違う人生に進むことも決して逃げではないと思います」(徳本氏)
箱根で輝いた選手たちの人生は、大学を卒業してからの方が圧倒的に長い。箱根での経験を生かし、その後半生をどう前向きに生きていくか。それを学び、再び人生のゴールを目指していく。
※女性セブン2018年1月18・25日号