新しい年になっても競馬は前年からの継続。しかし厩舎成績はリセットされ、また一からの積み重ねとなる。「今年こそは」という意気込みに注目したい。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏は先日、3年後の厩舎解散を宣言して競馬界を驚かせた。週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、角居厩舎の2018年についてお届けする。
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角居厩舎の年間の目標はいつもと変わらず「400走、60勝」です。
2017年は重賞4勝(12月17日終了時点)。キセキでGIも勝ちました。重賞1勝に終わった2016年にくらべれば、悪くない成績ではあるものの、目標に届かなかった反省の気持ちを強く持たなくてはいけません。良血馬・素質馬を数多く預からせていただいていながら、クラシックへの出走も物足りない。
2011年に中央で59勝、ヴィクトワールピサのドバイワールドカップを合わせて60勝というのがありましたが、400走というのはまだ一度も達成できていません。勝ち星は出走数におおむね比例するので、いかに400走に届かせるか。思惑通りに短期放牧を行なって、スムーズに馬を回転させたいのです。
角居厩舎では、基本的に3回レースを走ったら休ませる方針。「このレースで勝って休ませる」といった思惑通りにいけば、休み明けにさらなるステップアップが望めますが、勝てなくても3走で休ませます。「前のレースでは競馬をしていない」なんていう場合や、3走目で次の上昇の気配がはっきり見えた時などは、もう1走ということもありますが、そうすると他にしわ寄せが行くことがある。しかも走り頃は痛み頃でもあり、注意が必要です。
2回走って休ませなければならないケースも出てくる。そんな調子の馬が増えてくると、目標が遠のいていくのです。そのためには人間側のミスを極力減らす。ケアレスミスが、馬を傷つけてしまうのです。