平昌オリンピックまで1ヶ月になったが、大会運営にあたって欠かせない存在がスポンサーである。1928年のアムステルダム大会以来途切れることなくオリンピックをサポートしてきたのがコカ・コーラ社だ。同社は世界で13社しかない「ワールドワイドオリンピックパートーナー」が紹介される際に、先頭に登場する。紹介はアルファベット順なのに、「C」で始まる同社がトップなのだ。本来ならALIBABA、ATOS、BRIDGESTONEと続き、COCA-COLAはDOWの前に入るべきであるが、COCA-COLAの次がALIBABA。それだけ国際オリンピック委員会(IOC)と特別な関係にある。
同社は「オリンピックと企業活動」をもっとも熟知した企業といえるが、東京2020年オリンピックに向けた取り組みについて、日本コカ・コーラ株式会社・東京2020年オリンピックゼネラルマネジャーの高橋オリバー氏に話を聞いた。同氏は過去にFIFAにて運営側としてサッカーW杯の担当をした経験も持ち、運営・スポンサー両面から巨大スポーツビジネスを見てきた。
同社とオリンピックにおけるキーワードは「レガシー」だ。大会期間中にどれだけ商品を売るか、ということではなく、「オリンピックを通じて何をコカ・コーラ社は残すか」ということだ。2020年の東京大会では、高橋氏が世界のコカ・コーラ社のリーダーとなって、これを決めていく。
――以前読んだインタビューでは、2017年前半にレガシーを確立したいと言っていましたが、進捗はいかがでしょうか?
高橋:最終段階にあります。方向性は見えてきましたが、それを実現するためには、何をやる必要があるの? という部分を詰めているところです。本来は2017年中に終わらせたかったのですが、1月に入ってからもう一度フォーカスグループ的な課題と合わせ、まとめあげていきます。今回、初の試みという形で、マネジメントレベルでのブレストと、ワーキングレベルでのブレストを両方やりました。通常は上からのトップダウンで行うのですが、やはりマーケットで活用し、当社の活動を多くの人に認識してもらうためにはボトムアップも必要だということを考え、2つのグループでブレストをやりました。
すると、上からも下からもほぼ同じ案が出てきたんですよ! 「オリンピックでこんなことをしたい」「オリンピックでこんなレガシーを残したい」ということがマネジメント層も現場も似ているというのが嬉しかったですね。そんなこともあり、プロジェクトに落とし込んだ時に、同じ方向にもっていけるな、という確信は持てました。1月中旬に、最終段階として、「ステアリングコミッティーミーティング」というものを開催します。これは、日本コカ・コーラ、各ボトラー社の社長、そして(“各ボトラー社の社長”に含まれる)コカ・コーラ社のアジアパシフィックグループ社長であるジョン・マーフィーも参加して、社内で発表をし、その後儀式的なものをやります。そして1月19日には、2020年まで当社社員が使用する社章を渡します。