◆TOKYO 2020ではなくJAPAN 2020へ
これから、オリンピックスポンサーの3rd Tier(第3階層)が販売されれば、スポンサーは100社になります。その中のワンオブゼムではダメです。その中で、コカ・コーラ社にしかできないものを提供できるかどうかが勝負。たとえば、日本の場合は、水は「い・ろ・は・す」、スポーツドリンクは「アクエリアス」がありますが、日本独特のバラエティの富んだポートフォリオを活用し、すそ野を広げて活動をすればいいのではないでしょうか。具体的に東京大会で何をやる、というのはまだありませんが、今回は今までのアクティベーションをリセットして、ユニークなものにしていきます。
今回のオリンピックは「TOKYO 2020」ですが、僕は「JAPAN 2020」にしたいです。それは、ボトラー全体、北から南までオリンピックのアクティベーションを展開するということ。オリンピックにスポンサードするメリットは、日本全国にリーチできるところですね。ボトラー社と協力して、達成感を高めていきたいです。
――先ほど「商売っ気よりも大事なものがある」的な話がありましたが、とはいっても多額の費用を払っているだけに、なんらかのわかりやすい「成果」を求める声というのは出ないのですか?
高橋:「ROI(投資利益率)を明確に図る方法」は確立されていません。他のスポンサーもお持ちではないのではないでしょうか。ただし、大会後には「アフターアクションレビュー」というものを実施し、課題の抽出などは当然行います。もちろん成果は、「大会中に売れた製品の数量」などだけで判断するところはありません。だからこそレガシーが大事なんですよ。レガシーとは、30年後のことを考えたものです。「2020年東京大会の時のアレがあるから今……」ということを30年後に言えればいい。リオの時だって「はい、2016年大会は終わりました。だから成果はこうなりました」なんていうことはない。そんなことをすぐに求められるのであれば、レガシーを作る意味はないのではないでしょうか。
サッカーワールドカップの場合、スタジアムのボードのエキスポージャー(露出)がいくらに換算されるなど、いろいろ分かりやすい指標が存在します。でも、オリンピックにはこうした分かりやすい指標はありません。そこの明確な成果を出すかどうかについてのディスカッションは、ないですね。
――今回は、バルセロナ大会からコカ・コーラ社の提案で始まった聖火リレーの一般市民の参加みたいな企画は準備していますか?
高橋:ユニークなプラットフォームをとにかく作りたいですね。東京ではよりデジタルな形になるかな、とは思いますが。コカ・コーラ社らしいものを作れればいいな、と考えています。
――一般の人々にオリンピックのスポンサーはどんなメリットを提供できますか?
高橋:聖火リレーにかかわれば、かなりの数の一般消費者に還元できると思います。アクティブなスポーツをする子供が減っている中、身体を動かすプログラムが必要なのではないでしょうか。最近「ゆるスポーツ」というものがありますが、どんな子供達でも、スポーツを楽しめる取り組みが行われています。身体を動かすって気持ちいいよね、ということを体験してもらうわけですね。今、20代から40代で、1週間に1回体を動かす率が25%。これを2020年までに65%にしたいです。五輪のプラットフォームを使って、身体を動かす素晴らしさを伝えることは、今までもやってきたことです。しかも、2020年の大会は日本で行われるわけです。チケットプロモーションとか、聖火リレーの権利、各種体験などで一般の方にも五輪を体感していただければ、と思います。