◆オリンピックを支援する自販機も存在
――IOCや組織委とコカ・コーラの関係というのはどうなっていますか?
高橋:とにかく、我々はIOCにも東京オリンピック組織委にも情報をシェアするようにしています。ウチで勝手に進めるのではなく、話しあうことによって、組織委員会のムーブメントにもなり、一緒にイベントを作り上げていくことが一番重要だと思っています。組織員会にコカ・コーラ社担当がいて、週に2~3回会っています。その方も我々のチームの一人と考えています。我々は一つのチームにならないと、やりたいこともできないし、我々のベネフィットだけでなく、彼らにもベネフィットがある、ウィンウィンの関係を作らなくてはいけないです。でも、これができるスポンサーはあまりいないと思います。
コカ・コーラ社が長くスポンサーを続けている要因については、1928年からのノウハウというものがあるからでしょうね。オリンピックって毎回開催国が発表されると、そこから開催国の組織委とのリレーションづくりが開始します。当然、ロンドンの時もリオの時も東京の時もありましたが、各種課題について組織委から「商品には関係ないですけど、コカ・コーラ社さん、ここってどういう風にすればいい?」みたいに相談されるケースもある。お互い助け合って一つのイベント作っていくというのが重要なことです。
――他のスポンサーと一緒にやることというのはありますか?
高橋:皆さんとは、それぞれいい関係を構築していると思います。マクドナルドがスポンサーだった時は、最大のビジネスカスタマーでもあったため、プロモーションを店頭でやっていましたが、諸事情があって平昌で最後となりました。VISA、パナソニック、トヨタは自販機のパートナーでもあります。そこらへんの情報交換会をやっています。(一業種一社のため)皆さん、カテゴリーがかぶっていないので、敵対視する必要はないです。一緒にできることがあれば、ジョイントプロモーションをしよう、ということですね。
話があれば、もちろん常にドアはオープンですので。JALさんとかが、我々の製品を機内用に独占で買ってくれていたりもします。あとは「JOCオリンピック支援自販機」というものもあります。商品を購入いただくと、何パーセントかがオリンピック組織委員会、競技団体に寄付される仕組みで、それを社屋の中に置けるようになっています。トヨタやLIXILなど、全国で1100台設置しています。また、日本郵便とコラボして展開したJOCオリンピック支援自販機 メダリストメモリアル機は全国60の郵便局と日本郵便株式会社本社ビルにあわせて73台設置されました。中の商品は通常の自販機と一緒です。
――さて、実際に大会が始まったら、先ほどおっしゃった1200人のスタッフは何をするのですか?
高橋:一番忙しいのは、ベニューオペレーションチーム。2週間前から2週間後まで24時間動いています。会場内、選手村で製品を提供するのですが、24時間動けるようにしています。クーラーボックスを常に入れておかなくてはいけませんし、搬入は人の出入りの少ない夜遅い時間でなくてはダメです。また、ホスピタリティチームは大会の2週間で、2500から3000人のゲストをおもてなししなくてはいけません。大会のスケジュールにもよりますが、夜11時とか決勝の時間になると、深夜1時2時に軽食を食べて休み、早い人は6時には宿泊する部屋から外に出て行動します。ホスピタリティも24時間。一方、マーケチームの場合は、大会が始まる頃にはプランができあがっているため、そろそろシフトダウンをします。
テレビ広告、商品パッケージ等のチームはもう仕事が終わっている段階ですね。聖火リレーチームについても、開会式で聖火が点灯されれば終わりなので、大会期間中はのんびりできるチームです。チームによって各々やることが違いますし、大会期間中の忙しさも違います。聖火リレーをやっていた人が(時間があいたからといって)ホスピタリティにうつって働く、といったことはしません。あくまでも聖火リレー担当者は聖火リレーに全力で取り組むのです。