◆リオ大会の時から社内では熱があった
――オリンピックにかかわることを千載一遇の商機だと捉えているスポンサー企業もあると思うのですが、「レガシー」と「販促」はどう違うのですか?
高橋:レガシーをビジネスオブジェクティブ(商売にまつわる目標)と思っている方もいるということは、よく聞きます。でも、レガシーとビジネスオブジェクティブは別です。社内でセッションをするときも、「2020年までに●●ドルの売上を達成したい」といったことはレガシーではないと説明しています。レガシーとは未来へ継承され、社会に影響を与え続けられるような行動様式や技術のことです。
――短期的な商売っ気だけではないということですね。1964年に東京、1972年に札幌、1998年に長野でオリンピックが開催されました。現在の従業員の多くは「自国開催」を経験していないと思いますが、社内の雰囲気はどうなっていますか?
高橋:いやぁ~、会社全体で話にのぼる大きな題材になっているな、ということをひしひしと感じます。かかわりたいという方が非常に多いんです。これは嬉しいことではありますが、社内を歩いていると、「今どうなってるの?」「私もかかわりたいんです!」とよく言われます。日本コカ・コーラ社内だけでなく、全ボトラー社でも同様です。前回のリオオリンピックの時は日本が次の開催国ということで、日本コカ・コーラ社やボトラーの従業員がオリンピックのオペレーションを体験できる枠がありました。この枠への応募が多く、人選が大変でした。皆がかかわりたいと考えていたし、この体験をしておけば東京でも重要なパートでかかわれる、と思っていたのでしょう。
多くの人がこうしてかかわってくれているので、色々なアイディアも出てきます。1月から新たにホスピタリティ担当、ベニューオペレーション(競技会場での運営)担当が動き始めます。この担務の応募がボトラー社も含めて多いので、嬉しい悲鳴を上げています。人数的には、大会直前のコアのチームで55名、大会が始まれば1200人ぐらいのチームになります。
――コカ・コーラ社が国際オリンピック委員会(IOC)から期待されていることは何ですか?
高橋:アイディアを求められていると思います。1992年、バルセロナオリンピックの時、今や当たり前となった「聖火リレー」への一般市民の参加についてコカ・コーラ社が提案し、実現しました。新しいものを提案するのがコカ・コーラ社です。IOCとともに、オリンピズムを世界に浸透させ、オリンピックイメージを一般社会に広げていくことを期待されています。2020年の大会はどうするか――。過去のリオ、ロンドン、北京などでの活動は忘れ、次世代のスポーツアセットは何かを考え直そうという方針を作り、それをコカ・コーラ社のユニークなプログラムとして、世界に発信するつもりです。