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「このままでは米や日本は中国の属国になる」とS・バノン氏

元米大統領主席戦略官のスティーブ・バノン氏 撮影/太田真三

 米大統領選でトランプ氏を勝利に導いた男として一躍名をはせたスティーブン・バノン氏、64歳。首席戦略官兼大統領上級顧問として政権入りをするも、政権内の確執から昨年8月に辞任。しかし、現在もトランプ大統領とは親密な関係にあるとされる。東アジアの緊張が高まるなか、日本はどう生き残ればいいのか。2017年12月中旬、来日中だったバノン氏に訊ねた。

 * * *
 中国について語ろう。習近平氏は今世紀における最も重要な政治家だ。彼は2016年10月の第19回党大会で(中国の台頭を強調する)演説をおこなった。真の21世紀は、もしかするとこの演説から始まったと言えるかもしれない。

 彼の思考は100年単位だ。人民共和国の建国100周年となる2049年を一つの目安に考えている。この100年で、アメリカとの壮絶な競争は終わり、中国が勝利する(と習氏はみなしている)。

 さらに習氏は、将来5~10年の間に、中国が次の課題を達成すれば、やがて真の覇権国となれると考えている。

 第一に(次世代技術の開発や情報化と工業化の融合などの)10の重点分野を盛り込んだ成長戦略「Made in China 2025」だ。中国は半導体チップ・AI・ロボティクスなどの分野をコントロールし、新時代の製造業を支配していく。

 第二、第三は地政学的なユーラシア戦略である「一帯一路」と、海上戦略の「真珠の首飾り」(*1)だ。これには19世紀以来の地政学すなわちH・マッキンダーのハートランド・アジア戦略、A・マハンのシーパワー理論、そしてN・スパイクマンのリムランド理論(*2)の3つの偉大な地政学的概念が反映されている。

【*1いずれも習近平政権下で重視されている、陸海それぞれのユーラシア各国の取り込み戦略。海と陸の新シルクロード戦略とも呼ばれる。*2いずれも、地理的環境が経済・政治・軍事各方面で国家に及ぼす影響を論じる地政学の基礎を築いた理論家】

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