「他人の歯」を使ったユニークな脳梗塞の特効薬も実現に向けて動き出している。JCRファーマと帝人は、他人の歯から取り出した幹細胞を用いた急性期脳梗塞の治療薬を共同開発中だ。
「一般的に用いられる骨髄は細胞を取得する際の侵襲性が高くドナーに負担がかかるうえ、日本では細胞取得のシステムがなく海外からの輸入に頼ります。一方の歯髄由来幹細胞は廃棄される『抜かれた歯』から入手可能で、ドナーに負担をかけず採取できる。そこで当社は歯髄に着目しました」(JCRファーマ広報)
骨髄由来幹細胞には、神経を保護する、免疫を調整する、血管の新生を促すといった作用がある。
「これによって、脳梗塞の後遺症を軽減する効果が見込めます。これまでの薬は発症から数時間以内の投与に限定されましたが、当社の開発する歯髄由来幹細胞なら、発症から数日後の投与でも効果が期待できます。今年中に企業治験を開始する予定です」(同前)
※週刊ポスト2018年1月12・19日号