メルカリはCtoBtoCのエスクロー(*)にしたことで利用者が拡大し、今やアプリのダウンロード数は日本だけで6000万、全世界では1億を突破している。
【*エスクロー/売り手の個人と買い手の個人の間に企業が介在して取引の安全を担保する仕組み】
ネットオークションサイトやフリマアプリが普及した結果、中古品の争奪戦が激化して、若者たちのクローゼットや箪笥や下駄箱は空っぽになってしまった。
かつての日本は“新品崇拝文化”で、何でも「新しい物がよい」という発想だった。このため家の中の収納スペースからあふれるほど新しい洋服や靴やバッグなどを買っていたし、住宅も新築志向が根強かった。
しかし、それも今は昔、である。もともと若者の間には古着を好む文化もあったが、今やフリマアプリなどの隆盛によって、多くの人は中古品に対する抵抗感がなくなっている。結果、中古品が品薄になって争奪戦が巻き起こっている、というのが現状だ。
マンションも、昔は中古物件は新築物件より3~4割安くてもあまり人気がなかったのに、今は場所さえ良ければ、水回りや壁紙や床などをリノベーションしたら内装は新築同様になるので全くかまわない、という考え方の人が増えている。
これは、物に対する日本人の価値観の本質的な変化である。イギリスやドイツ、アメリカといった欧米先進国の場合、100~200年前の家や家具などを平気で使っている。中古品を敬遠するどころか、修理・修繕しながら長く愛用するのが当たり前になっている。