「患者さんの大半は高血圧です。網膜静脈閉塞症と診断したら、まずは内科の受診を勧めます。なぜなら高血圧の中には加齢が原因ではなく病的なものもあるので、それを除外する必要があるからです。
治療は高血圧のコントロールで、同時に網膜循環改善薬の服薬を行ないます。黄斑の浮腫がある場合には新生血管を抑制するために、抗VEGF抗体薬の注射を行ないます。注射の効果で腫れが改善するにつれ視力も回復します。まれに腫れが再発することもありますが、その場合は複数回の注射が必要となることもあります」(井上院長)
網膜静脈閉塞症は発症から時間が経過し、症状が落ちつく慢性期に硝子体出血や新生血管緑内障、網膜剥離などの合併症が起こることもある。この場合は定期的に蛍光眼底造影検査を実施し、新生血管や浮腫を見つけたら、すぐにレーザー照射などの凝固治療を開始する。
日頃から血圧が高めの人は眼にも注意を怠らず、視力検査や眼底撮影などを定期的に行なうことが重要だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年2月2日号