国内

ペットは「臭くない」「うんちしない」と思う人もいるが現実は…

ペット譲渡後に音を上げる飼育者も(写真/アフロ)

 これまで当サイトでは2回にわたり、自治体や民間の動物保護団体から保護犬・保護猫を引き取る「譲渡」という制度について取り上げてきた。さらに今回は、譲渡の際に飼い主が負担する費用やアフターフォローについて紹介する。

 譲渡の際に新しい飼い主が負担する金額は、自治体・団体によってさまざまだが、無償譲渡を謳っていても、完全にタダというケースは少ない。

 例えば、NPO法人「犬と猫のためのライフボート」では、1頭につき3万円を飼い主に負担してもらっている。

「新しい飼い主へは、最低1回のワクチン接種と不妊手術などが済んだ状態でお渡しします。実際には保護から譲渡まで、1頭平均6万円ほどの費用がかかっていて、その一部を里親さんにご負担いただいています」(NPO法人「犬と猫のためのライフボート」理事長・稲葉友治さん、以下「」内同)

 行政主導の場合、講習料が必要となったり、ワクチン接種・不妊手術等が義務付けられている。また一部の動物愛護団体では不当な金額を請求してくるケースもあるという。

「ホームページに詳細な金額が明記されていない、引き取り料金の明細を教えてくれないなどの団体は注意が必要です」

 自治体や団体は、譲渡後も、しつけ教室や飼養相談を行うなど、アフターフォローにも力を入れている。これは、飼い主が途中で飼育を放棄しないためだが、それでもごく稀に「飼えないので戻したい」という相談はあるそうだ。

「当たり前のことなのですが、吠えない(鳴かない)・臭くない・うんちをしない動物などいません。しかし残念ながらその辺を理解しないまま飼い始めて、“思っていたのと違う”と音を上げる人がいます。そういった場合、基本的には、飼い主自身で新しい飼い主を探してもらいますが、やむを得ず施設で再度引き取るケースも。しかし、そのような経験をしたペットは心に傷を抱えてしまいます」

 譲渡の場合、ペットショップなどで購入するより安く済む分、気軽に飼い始める人もいるのは事実。しかし、飼うと決めたら最期までという覚悟を持たなければいけない。

 譲渡が成立した件数は3年前に比べ約2倍に増えている。しかし、その数は保健所に収容される犬・猫の4割以下。つまり、保護された犬猫の半数以上は殺処分されているのが現状だ。

「今までは新しい環境に慣れやすい子犬・子猫が優先的に譲渡される傾向にありました。しかし、救命率を上げるには、成犬・成猫の譲渡も増やす必要があります」

 ペットの寿命が延びたことで、保健所に預けられる犬・猫の高齢化も進んでいる。今後は、このような年齢を重ねた犬・猫の譲渡を、どうクリアしていくかが課題だという。

 成犬でもしつけはできるという。子犬や子猫の方がかわいいのはわかるが、飼い主側もこういった事情を考えて譲渡に応じるべきかもしれない。

※女性セブン2018年2月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
史上初の女性総理大臣に就任する高市早苗氏(撮影/JMPA)
高市総裁取材前「支持率下げてやる」発言騒動 報道現場からは「背筋がゾッとした」「ネット配信中だと周囲に配慮できなかったのか」日テレ対応への不満も
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
「父と母はとても仲が良かったんです」と話す祐子さん。写真は元気な頃の両親
《母親がマルチ商法に3000万》娘が借金525万円を立て替えても解けなかった“洗脳”の恐ろしさ、母は「アンタはバカだ、早死にするよ」と言い放った
NEWSポストセブン
来日中国人のなかには「違法買春」に興じる動きも(イメージ)
《中国人観光客による“違法買春”の実態》民泊で派遣型サービスを受ける事例多数 中国人専用店在籍女性は「チップの気前が良い。これからも続けたい」
週刊ポスト
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」
米・フロリダ州で元看護師の女による血の繋がっていない息子に対する性的虐待事件が起きた(Facebookより)
「15歳の連れ子」を誘惑して性交した米国の元看護師の女の犯行 「ホラー映画を見ながら大麻成分を吸引して…」夫が帰宅時に見た最悪の光景とは《フルメイク&黒タートルで出廷》
NEWSポストセブン