民主主義社会において、一つの事実の解釈が人によって異なり、そこで議論が生まれることは極めて健全な状態です。しかし、だからこそ基礎的な事実そのものが完全に間違っていたという事態は、可能な限り避けなければなりません。マスメディアは民主主義社会に必要不可欠なので、本来、国民に対する責任と自覚を要求される存在です。ところが日本のマスメディアは、朝日新聞という大新聞ですら、民主主義の一翼を担っている責任と自覚がなかった。この現実を、私は目の前に突き付けられたわけです。
*ケント・ギルバート/井上和彦・共著『東京裁判をゼロからやり直す』(小学館新書)より