私は『当たり前だよ。そんなことするなんておかしいよ。でも、不思議なことに実際に亡くなられると、涙を流しながら笑顔でピースの写真を撮るご遺族が多いんだよ。その気持ちもよくわかるから、ぼくもうれしいんだよね』と話したのですが、在宅ホスピス緩和ケアでは、そんな驚くようなことが次々と起こるんです」(小笠原さん)
編集部にも、こんなおはがきが届いている。
〈我が家にも91才の義父がおり、年を越せないと医者に言われていますが、余命宣告を覆しそうです。この本を読んで、その理由がわかったような気がします〉(60代・女性)
<これから抗がん剤治療をします。どこまで生きられるかわからないけれど、私もめでたいご臨終と言えるように明るく楽しく少ない生涯を過ごせるように暮らしたいと思う>(60代・女性)
そして感想でいちばん多いのが「死ぬのが怖くなくなりました」というもの。
〈本当に死は必ず来ます。ひとりで死ぬと言われて旅立っていかれたかたの思いなど、自分らしい暮らしの中で心から安心を持てる、心暖まる本でした。死ぬことは怖くないと思えるようになりました。勇気と希望が湧いてくるような思いです〉(90代・女性)
<ひとり暮らしでも安心できることを知り、死が怖くなくなりました。お友達にも薦めたい!!>(女性)
その理由はなぜか。小笠原さんはこう分析する。
「死についてのいちばんの恐怖は『死がわからないこと』だと思います。苦しいんだろうか、痛いんだろうかと不安になれば、痛みは倍増しますし、怖くもなります。ところが私の患者さんたちは最期まで朗らかに生きて苦しまずに旅立ち、ご遺族は笑顔でピースまでしている。この本を読んだかたは、死への不安が取り除かれ、めでたいご臨終に向けての生き方がわかったからこそ、死ぬのが怖くなくなったのだと思います」
※女性セブン2018年2月15日号