“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
石破茂・首相が衆院解散をチラつかせるのは、野党に内閣不信任案を出させないための保身のブラフではなかった。コメ値下げをめぐる連日の“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まった。「いまダブル選挙を打てば勝てる」──首相は本気で狙っている。果たしてダブル選挙になれば自公政権は衆参過半数を回復できるのか。緊急議席予測を行なった。【全3回の第1回】
「今衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声
会期末の国会は奇妙な緊張感に包まれている。
野党が内閣不信任案を提出すれば少数与党の自公には否決する数がない。石破首相は「不信任案が出たら総辞職ではなく解散を打つ」との構えを見せ、解散権は事実上、野党第一党の立憲民主党が握っている。
ところが、立憲の野田佳彦・代表は解散を怖れて不信任案提出に踏み切れない。
進次郎氏が主導する政府備蓄米の「値下げバーゲン」でじり貧だった石破内閣の支持率は反転。NHKの世論調査では6ポイント、ANNは6.8ポイントも急回復した。
「今衆参ダブル選挙をやれば勝てる」(自民党参院議員)
与党内に解散を望む声が強まっているからだ。
その根拠のひとつとされるのが、自民党が5月に行なった参院選の情勢調査だ。
本誌・週刊ポストが入手した〈参議院選挙の情勢調査の概要〉と題する報告書では、「自民党49議席、公明党12議席」で与党合計61議席を獲得。自公ともに現有議席からは減るものの、非改選(自公で75議席)を合わせると136議席となり、過半数を12議席上回ると予測している。
さらに報告書には、〈前回調査時より、自民党支持者や公明支持者は固まりつつありますが、無党派層の支持は逆に減っていますので、無党派層に響く目玉政策が必要です〉という分析に続いて、〈備蓄米の継続的な放出と米の更なる増産など米価対策〉〈物価高、トランプ関税対策のための現金給付〉など7項目の選挙対策が提案されている。
「総理はこの調査を見てダブルでもいけると自信を持った」(石破側近)
実際、自公は報告書の提案通りに6月10日の幹事長会談で「国民1人数万円」の現金給付を参院選公約に盛り込む方針を決めた。
今年4月に石破首相がバラマキ批判を浴びていったん撤回した現金給付が復活したのだ。衆参ダブル選挙への布石が着々と打たれていると見てよさそうだ。