教えるという概念の前提は、教える人が答えを知っているということであり、教えられる人はその答えを覚えるだけになってしまうため、自分で考える能力がなくなる。答えを覚えることは人間よりコンピューターのほうが得意だから、コンピューターにできないことができる人間を育てなければ、国際的な競争力を失ってしまう。そう気づいたからである。

 そしてデンマークは、先生を「ティーチャー」と呼ぶこともやめた。生徒が自分で考えることを助けるという意味の「ファシリテーター(促進者)」に変えたのである。

 21世紀は答えのない時代である。そこで生き抜いていくためには、自分で質問して答えを予測し、他人と議論する中でリーダーシップをふるって答えに至る道筋を見つけられるようにならねばならない。しかし、今の日本の教育制度では、そういう人間を育てることはできない。逆に言えば、21世紀の世の中で通用しない人間=AIやロボットに置き換えられる人間しか育てていないのである。

※SAPIO2018年1・2月号

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