次に、光塩女子学院中等科(東京・女子校)の「総合」の問題では、『日本の橋─その物語・意匠・技術』(五十畑 弘著)の序文である「はじめに」を読ませて、いろいろな角度から出題している。
「土手の模型」の実験などを基に理科的な設問が6問、新井白石の『東雅』や最近の新聞記事、『東京 β』(速水健郎著)、明治時代の『米欧回覧実記』などの文章を基に自分の考え、意見を述べさせる設問が8問ある。
引用文献からして、小学生対象とはとても思えない高度なレベルである。光子さんを主人公として様々な設問を展開していく問題だが、その最後の設問が下記である。
【問9】
下線部9「橋は、ほかの建造物とともに、文化、歴史を読み解く格好の対象である」とありますが、光子さんは建造物としての役割、文化や歴史を読み解くための材料に加え、現代社会においては、他にも橋の役割や存在の意味があると考えました。そして光子さんは、リード文にあった「壁ではなく橋を築くべき」だというローマ教皇フランシスコの発言を思い出し、自分にもできることがあるのではないかと思いました。あなたなら「壁ではなく橋を築く」ということを実現するために、どのようなことを実践しますか。具体例を挙げて思う存分書いてください。
◆「家庭の文化度」が影響!?
「壁ではなく橋を築くべきだ」というローマ教皇フランシスコの言葉で設問を締めくくっているところはいかにもカトリック校らしいが、まさに「ご家庭の文化度」が問われているような気がする。しかも“思う存分書いてください”……。すごい!