AIの進化・普及に注目が集まっているが、家庭内でもAIの活躍はめざましい。最近の“出世頭”はAIスピーカー。「オッケー、グーグル」と呼びかけると起動する『グーグルホーム』や、ブームの火つけ役となった『アマゾンエコー』が有名だ。
AIスピーカーの最大の特徴は人間の音声に反応してさまざまなアクションをすることである。人工知能学会会長で国立情報学研究所教授の山田誠二氏が解説する。
「たとえば、『今日の天気に合わせた曲をかけて』と頼むと、ネットで天気情報を集めたAIが“暖かいから春の雰囲気のある曲にしよう”などと判断して、『これはどうでしょうか』と曲を提案します。この過程において音声認識、情報収集、推論、音声合成という4つのAI技術が生かされています」
AIを搭載した家電も続々と登場している。
「AI炊飯器は、その日の気温やお米の種類、家族の好みなどを学習して最もおいしい炊き方をします。室内にいる人間の体温をサーモメーターで感知して、“冬の割には体温が高いから、部屋はそんなに暖めなくてもいいな”と判断して風量、風向き、温度を調整するAIエアコンもあります。便利で優秀な“AI家電”たちは今後ますます家庭生活に溶け込んでいくでしょう」(山田氏)
家電の一歩先を行くのが、ロボット開発会社・ユカイ工学が製造した“見守りロボット”の『BOCCO(ボッコ)』だ。そのデザインはとてもシンプルで、胸に再生ボタン、録音ボタンがつき、鼻が音量ボリュームになっている。利用者は外出先からスマホを使ってBOCCOにメッセージを送ることができる。身長19cm、体重200gの小さなロボットは「家族の見守り役」としてその実力をいかんなく発揮する。
同社CMO(Chief Marketing Officer。最高マーケティング責任者)のPR担当・冨永翼さんが言う。
「自宅の玄関ドアに専用の『振動センサ』をつけておけば、子供が帰宅した際、ドアの開閉をセンサが察知して親のスマホに連絡を入れます。そこで親が『おかえり』『おやつは冷蔵庫の中よ』などとスマホに打ち込むと、そのメッセージをBOCCOのかわいい音声で子供に伝えます。逆に子供がBOCCOに『ただいま』と吹き込むと、親のスマホアプリにそのメッセージが音声とテキストで届きます」
ほかにも「鍵センサ」を利用して扉の施錠状態を確認したり、「人感センサ」で部屋のどこに人がいるかを確認したりすることもできる。
「『BOCCO』は現状、スマホに打ち込んだり録音したりしたメッセージを言うだけですが、今後目指していきたいのは、自ら家族に話しかけたり、子供がお母さんに怒られたら慰めてくれたりする“空気を読む”ロボットの開発です」(冨永さん)
なんだかまるで学校から帰ると「おかえり、のび太くん、宿題は?」と話しかけてくれるドラえもんのようだ。
このままAIの普及が進めば、街を走るほとんどの自動車が無人運転になり、コンビニやスーパーなどの接客もすべてロボットが行うようになるかもしれない。
※女性セブン2018年3月15日号