中国で81歳の女性が今年2月、天津大学のeコマース(電子商取引)学科を4年間で卒業していたことが分かった。eコマース学科での専門知識の取得は年齢的に難しいとみられるが、「勉強は老いや痴ほうを予防するのに非常に役立った」とこの女性は語っている。ネット上でも「勉強するのに、年齢は関係ないことが証明された」などと女性を絶賛する声が多数書き込まれている。
この女性は薛敏修さんで1936年12月生まれ。2014年3月に天津大学の通信教育課程でeコマースを専攻し、昨年12月には中国教育省(日本の文科省に相当)が指定する専門の6科目の卒業試験ですべて合格点をとり、卒業が確定した。
薛さんは2014年に77歳で大学への入学を決めた動機について、1950年代に中国陝西省西安市にある西北大学への入学が決まっていたことを挙げている。だが薛さんは当時、国有企業の従業員であり、薛さんの上司に当たる工場長が薛さんの大学入学を認めなかったため断念しており、その時の悔しさを晴らしたいと思ったなどと語っている。
中国では制度的に大学入学が全面的に自由化されたのは2001年。それまでは既婚者や25歳以上の国民は大学への入学を認められていなかった。薛さんは大学の自由化を機に自分でも勉強しようと思っていたが、通学するには年齢的にも厳しかった。一時は諦めていたものの、地元の天津大学が通信課程を始めたことで猛勉強し、2014年に入学を果たしたという。
卒業後の目標について、薛さんは「専門のeコマースをさらに勉強して、自分でもビジネスの世界で活躍したいと思っている」と語っている。
これについて、ネット上では「若い人たちのなかには勉強を諦める人もいるが、薛さんをみたら、勉強しない理由がなくなってしまう。若者よ、勉強に目覚めよ」などとの肯定的な意見が大半だが、「eコマースのビジネスの世界は極めて厳しい。単に大学を卒業しただけで、アリババの馬雲氏のように、百万長者になれると思ったら大間違いだ」との厳しい意見もあった。