国内

暴走公道カートでひき逃げ事件発生 拡大する「観光公害」

公道カートには危険性を指摘する声も(時事通信フォト)

 外国人観光客も数多く訪れる、東京・秋葉原にほど近い国道17号の交差点で、2月23日午後6時半すぎ、大きな衝撃音が鳴り響いた。倒れ込む若い男性を居合わせた人々が取り囲み、その側には自転車が転がっていた。目撃した男性が振り返る。

「男性は腰の辺りを押さえながら、苦しそうにうずくまっていました。救助に駆けつけた人が“カートだよ!”と叫んでいましたが、彼を轢いたカートは一目散に逃げていきました。本当に酷いですよ」

 事故発生から3日後の26日、警視庁は自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで台湾籍の自称パイロット・張仁傑容疑者(35才)を逮捕した。

「張容疑者は公道レンタルカートを運転中、交差点を左折しようとしたところ、前方から直進してきた自転車と衝突しました。被害者の19才少年は全治2週間のけがを負いました」(警察関係者)

 逃げたはずの張容疑者が“犯人”として浮上したのには大きな理由があった。全国紙社会部記者が語る。

「張容疑者は大人気ゲームキャラクター『スーパーマリオ』のコスプレをしてレンタルカートのハンドルを握っていました。当然、目立ちますから目撃情報が複数出てきたため逮捕に至ったそうです」

 公道レンタルカートとは、1人乗りの四輪カートのこと。道路交通法上はミニカーの扱いで、公道での走行が認められている(法定速度60km)。普通免許があれば簡単な手続きで運転することが可能だ。

 そんな公道レンタルカートはここ数年人気を博している。モータージャーナリストの森口将之氏が解説する。

「外国人観光客を中心に、都内では2、3年前から利用客が増え始めました。普通のレンタカーより料金は高いですが、地を這うような低い目線で走ることができるのでスリルもある。加えてマリオやルイージなど、人気キャラクターのコスプレをしてカートを運転するという『マリオカート』さながらの体験ができることも手伝って、外国人観光客にウケているんです」

 だが、冒頭の事故の目撃者男性はこう漏らす。

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