「ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬・抗不安薬には転倒や骨折のリスクが指摘されているのは筋弛緩作用があるからです。さらに認知機能の悪化などのリスクもあり、高齢者には非ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬の方を優先して使った方がいいとされています。ただ、睡眠作用が転倒につながるリスクもあるので、服用した後の体の変化を医師に伝えるなど、その量については慎重な相談が必要です」
◆若い頃とは違う
高血圧治療薬(降圧剤)で、堀氏が注意を促すのは、サイアザイド系利尿薬だ。
「尿を増やし体内の塩分を排出することで血圧を下げる。高齢の服用者が多いのですが、脱水が問題となります。長期間続けて服用する場合は尿と一緒にカルシウムを体外に排出して骨が弱くなるため、転倒リスクのある高齢者は慎重な判断が必要です」(堀氏)
糖尿病治療薬についても、複数の種類の薬剤がリストに掲載されている。
「全てにおいて低血糖の注意が必要です。SGLT2阻害薬は比較的新しい薬ですが、糖分を尿と一緒に排出する際、尿量が増えすぎて脱水症状が起きることがある。体内の水分が減少すると、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなる」(同前)