SEJで取締役執行役員商品本部長を務める石橋誠一郎氏は、昨年の店舗オーナー向け新商品展示会の場で「同業他社のような糖質オフやカロリーオフを全面に出すやり方はせず、あくまで美味しさが基準だ」としてきた。今回の健康基軸の打ち出しについても、

「すでにセブン‐イレブンで(低カロリー、低糖質で)好評を得ている、セブンプレミアムの『サラダチキン』の事例が示すように、お客様の健康に配慮した商品へのニーズはたくさんあります。

 で、いまの時代に求められる健康基軸を前提にマーケティング調査を始めていて、そこで現時点で我々が見えてきたのはまず、レタス1個分の食物繊維というわかりやすさ、あるいは野菜摂取量についても、1日に必要な摂取量の2分の1以上が入っている、というわりやすさでした。

 そういう具体的な数値が入っていないと、お客様には認識をしていただけません。そういうことで理解していただきやすい基準を設けたわけです。この後も、ミネラルや鉄分など、商品で我々に求められる健康要素は何なのかを社内外でヒアリングしながらコンセプトを決めていく考えです。今回の第1弾商品を皮切りに、新しい健康基軸も入れながら商品開発をしてきたいと思っています」

 要は、2万店というスケールメリットを武器に、あまたの取引メーカーや取引問屋なども巻き込んで、セブン‐イレブンもいよいよ本格的に、健康軸の商品群に攻め込んでくるというわけだ。

 ただし、もちろん同業他社商品を含めて例外もあるが、総じて言えば、糖質オフやカロリーオフの商品はカラダには優しいものの、食べて美味しいと瞬時に思えるものは多くはないのが実情だ。そのトレードオフの関係を、いまや小売業の頂点に立つSEJが、自社の専用工場の優位性を武器にどこまで克服し、消費者の舌をうならせることができるか、そこが焦点になる。

●文/河野圭祐(『月刊BOSS』編集委員)

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