国内
2018.03.20 07:00 週刊ポスト
若者の「大丈夫ですか?」に67歳アナは暴力性感じる

言葉のプロが「大丈夫ですか?」の問題点を語る
日本語の変化は日々起こるものではあるが、嫌なものは嫌だと声を上げるのは、言葉に関するプロであるフリーアナウンサー・梶原しげる氏(67歳)。同氏の熱い主張を聞こう。
* * *
若手社員でやたらと「大丈夫ですか?」って聞いてくる人がいますね。
その社員の意図としては、“こちらは何もしなくていいですか?”“このほかに何か必要なことがありますか?”“不都合はありますか?”などなど、要するに“アーユーOK?”という意味ですよね。でもどんなシチュエーションでも使ってくるから、ニュアンスが汲み取れなくなってしまう。
昔、マネージャーの運転する車に乗ってたら、別の車に突っ込まれる事故があったんですよ。乗っていた車の前側の側部が大破したけっこうな事故でしたが、突っ込んできた男は開口一番、「大丈夫ですか?」。マネージャーは「大丈夫じゃないです」と返していましたが(笑い)。車を大破させといて「大丈夫ですか?」はないだろうと、せめて「申し訳ありません」が先ですよ。
でもたいがいの場合は「大丈夫ですか?」と聞かれると、腹の中では“大丈夫じゃないよ、この野郎”と思いながら「ええ、大丈夫です」と答えるほかない。だから、「大丈夫」という言葉は、実は暴力性を孕んでいるんです。
上司が部下に「大丈夫か?」と聞いても、部下は「大丈夫じゃないです」って言えないですよ、怒られるから。それで「大丈夫」と返してきたから任せて、全然大丈夫じゃない結果になっても、それは「大丈夫」のニュアンスを読めなかった上司の責任ということでしょう。それで、また今度は部下が「大丈夫ですか?」って聞いたりして(笑い)。
ビジネスの場では「大丈夫」という言葉は禁止したほうがいいかもしれません。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号
関連記事
トピックス

大江WBSが夜10時スタートに 報ステは「経済ニュース強化を」と警戒

1日6万円の休業協力金 「焼け太り」する飲食店もあれば「闇営業」も

素性明かさず大ヒット 匿名アーティストが語る「匿名の理由」

責任転嫁と説明放棄を繰り返す「菅・二階政治」という疫病

中国から持ち込まれた闇ワクチン 予約リストには大御所芸能人の名も

きゃりーぱみゅぱみゅ 「セレブ化」にファンが心境複雑

大相撲・初場所中継でネット騒然「溜席の妖精」に話を聞いた
