──勉強をやる気にさせる工夫は?
青野監督:勉強やテストなど時間に追われる学校なのは事実です。他校なら、「勉強しなさい」とか言われないかもしれませんが、うちは言われるから、一人で頑張らなくてはいけない精神力が大事です。だから、「野球の方が絶対に楽で、勉強の方が大変なのは知っている?」と。みんなが頑張っている時、「野球は仲間が一緒にいるから、孤独な勉強と両方を頑張った方が尊いんじゃないかな?」とか話をします。
元々大学進学志向で、野球もしっかりやりたい子が多いから、野球部の進学率はほぼ100%です。野球で甲子園に行けたから、大学に行ける生徒はほとんどいないわけだから、自分の道は、自分で切り拓かないとダメです。
──監督と球児を繋ぐツールとして人気のある「野球日誌」は?
青野監督:やってないです。生徒は宿題もあるし、自分が高校生だったら書くのが面倒くさいし、私もそれを見てコメントを書くのも大変ですから、そんな面倒くさいことはしないです(笑)。それに、生徒の悩みをあえて聞きたくない。私は甘い人間だから、それを聞いてしまうと同情してしまいます。そういう自分の弱さを出したくないから、あえて聞きたくありません。野球にだけ没頭して欲しくはありませんが、野球小僧ではあって欲しいみたいなところもあるので、なかなか難しいところです。
──これだけ甲子園に行くと、中学生からも人気が出ますね。
青野監督:我々の頃は3年生の男子と全学年の女子がフォークダンスしても女子が足りなかったくらいでしたが、今は全校生で女子の割合が高くなっています。福岡の場合、人数は決まっていませんが、学力での推薦入試あります。スポーツも含めた一芸に秀でた項目もあり、9科目のオール4の合計36点以上が基準ですが、だいたいオール5の45点が沢山出願してきます。公立高校は11月からしか動けませんが、私学は公立より早く特待生の条件提示などして決まってしまうので、公立校はどうしても後手に回ってしまいます。それに昨今の公立校のレベルは分散傾向なので、特定の学校に集まることは稀です。
──野球部として掲げていることは?
青野監督:スローガンもないし、座右の銘もありません。あえて言えば、大らかで掴みどころのない野球ですね。いい監督は生徒たちがやったように思わせる、自分たちの力で勝ち取ったと思わせる。だから、自分で考えてやりなさい、と。私は前面に出ず、監督のおかげで勝ったのではなく、自分たちの力で勝った。そういう雰囲気が大事だと思っています。
──東筑で野球をやったら、切り替えがすごく上手くなりますね。
青野監督:集中する限界は5分程度と言われています。ボール1球投げるのに5秒かかったとして100球以上投げるゲームが2時間も3時間も続いて、集中できるわけがありません。ベンチで精神統一している生徒を見つけたら、「いらないこと考えるから、そんなに集中しなくてもいい」と注意しますから(笑)。